肌と無垢さが熱を帯びて表現される官能的な場所、19世紀パリのハマームへと誘い込まれるかのような〈ヴァルパンソンの浴女〉の香り。太陽の王国からの恵みであるオレンジブロッサムが、モデルが腰掛ける純白のベッドのエレガンスを表しています。エリザベス1世やヴィクトリア女王も愛した、落ち着きあるラベンダーの香りがもたらす洗いざらしのシーツやリネンのイメージ。神々の楽園を思わせるビターオレンジのエッセンス、ネロリのトップノートがオリエンタルな雰囲気に調和しています。
湿り気を帯びた樟脳のようなパチュリのウッディノートに乗って東洋から運ばれる、誘惑の微風。第二次帝政時代のフランスで特に愛されたパチュリは、インドから運ばれてくる貴重なショールやストールを保護するのに用いられました。「ヨーロッパの祖母」と呼ばれたイギリスのヴィクトリア女王の愛用したポプリにも、ふんだんに使われていたそうです。 ラベンダーの語源がラテン語の「lavere」であることからもわかるように、古代ローマ人も入浴剤として用いたラベンダーのアプソリュが、この完成された〈 ヴァルパンソンの浴女〉の香りにアクセントを添えています。 作品の左端に描かれた神秘的に反射する重厚なカーテンのように、深い広がりを感じさせる香りです。