紅い黄金と称されるサフラン、ペルシアの神秘主義詩では特別な位置を占めるバラ、ウッディで麝香や竜涎香を思わせる類いまれな香りを持つ沈香のトリオが生み出すウード・ドゥ・メディンヌ。このメインの香りから優しく感じ取れるアンバーとバニラと交差する、ムスクにパチュリを加えたサンダルウッドの調べ。高貴な香りがふんだんに盛り込まれたこのオー・トリプルは、イスパハン、カイロ、コンスタンチノープル、バグダッド、ダマス、サマルカンドなど中近東からアジアの国境沿いに建つ隊商宿、キャラバンサライの喧噪、弾んで交わされる会話、砂漠の風によって運ばれた珍しいスパイスの香りの夢の中へと、私たちを遠く連れて行くかのようです。“大旅行は、出発前からその喜びが始まっているという素晴らしさを含んでいる。地図帳を開き、旅路を思い浮かべながら、未知の村の魅力的な名前を繰り返す…”ジョセフ・ケッセル著『ルビーの渓谷』(1955)より引用